2023年度ボラセンノート

4月:ボランティアを始めるきっかけ

ハートのイラスト

 ボランティアをされている方とお話をしていると、ボランティア活動を始めたきっかけを教えていただくことがあります。「昔から人の役に立ちたいと考えていたから」や、「身内の支援にもなる活動だから」など、元々持っていた思いや目的があって活動を始めたという方も大勢いらっしゃいますが、なかには「時間ができたから何かやりたくなって」という方、「なんとなく始めてみた」という方もいらっしゃいます。

 何年もボランティア活動を続けているベテランの方にも聞いてみたことがあるのですが、「たまたま広報でボランティア募集のお知らせをみつけたからだよ」と教えていただきました。この方がボランティア団体の一員となって、今お仲間ととても楽しそうに活動していらっしゃることを思うと、当時偶然ボランティア募集の案内をみつけ、お申し込みしていただけて本当によかったと思いました。
皆様も、少しでもご興味があれば、ボランティアを始めてみませんか。最初は気軽なお気持ちで始めていただいても、もしかしたら今後、新しい出会いがたくさんあったり、楽しさや充実感を味わえたりする活動になるかもしれません。

 ボランティアセンターでは、ボランティアを始めたい方のお手伝いをさせていただきます。ぜひお気兼ねなくお問い合わせください。

5月:アフターコロナ2

マスクを外す人

 この時期、真新しいランドセルを背負った新小学一年生、まだ体に馴染んでいない学生服・セーラー服を着た新中学一年生、ちょっと大人びた感じの新高校一年生が目を引きます。今年度がスタートして早1カ月、緊張気味だった彼ら彼女らもそろそろ新しい生活に馴染んで来たのではないでしょうか。また、3月13日からマスクの着用が任意になったことで、児童・生徒の学校生活はもちろんのこと、私たち大人の生活もコロナ禍を経て大きな変化の時を迎えています。

 マスク着用の状況については、3月に行われた学校の卒業式などでは、多くの子ども達が『マスクを着用して参加』とニュースでは報じていました。丸3年という長い期間をマスク着用で過ごしてきた子ども達にとっては、『素顔を見せるのが恥ずかしい』『自分だけ外していたら周りにどう思われるか』などの心理的要因が、マスクを外すことへのハードルを上げていると言われています。これは、子ども達だけでなく私たち大人も同様で、オンオフ問わず、まだマスクを着用している人が多いように思います。

 5月8日からは、新型コロナウイルスの感染症法上の取り扱いが、2類相当から季節性インフルエンザ等と同様の5類に引き下げされます。「アフターコロナ」の大きな転換期を迎えますが、マスク着用や新型コロナウイルス感染予防のための『新たな生活様式』など、既に私たちの生活において習慣となったものを変えていくには時間が掛かります。無理に周囲に合わせて急ぐ必要はありません。自分自身のペースで一歩ずつ進んでいきましょう。

6月:あなたの睡眠の質は?

睡眠している女性

 昔から、『高齢者は朝4時には起きている。』という言葉をよく聞きます。なぜ高齢者は早起きなのかというと、加齢による体内時計の変化で、睡眠を支える多くの生体機能リズムが前倒しになるからだそうです。また、高齢になると社会参加が遠のき、日中の活動時間が減るために、必要とする睡眠時間が減少することも原因として挙げられます。こういった事例により、高齢者は睡眠不足・睡眠障害の方が多いと言われています。30代の私であっても眠りの浅さ・睡眠の質の悪さを感じることがあります。寝不足が続くと、疲労が溜まったり、血行や代謝が悪化したり、生活習慣病になりやすくなるなど悪影響を及ぼします。また、布団に入ってから長い時間眠れないと、眠れないことへの焦りから、さらに眠れなくなるという経験は誰もがあるはずです。これらを改善するには、やはり起きている時間にどう過ごすが重要になってきます。

 快眠を手に入れるために、起きたらすぐ朝日を浴びる・日中の適度な運動・寝る前はカフェインを避けるなど、様々な対策が挙げられます。

 ボランティア活動を長く続けていただくためにも、ご自分の健康を維持するための睡眠はとても大切です。みなさんも、快眠を目指して生活リズムを整えてみてはいかがでしょうか。総合福祉センターあいトピアの2階にある図書ライブラリーでは、睡眠や健康に関する本をいくつか置いてありますので、興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。

7月:心身ともに健康であること

運動している人

 私のマイブームは、夜風に当たりながらウォーキングをすることです。きっかけは、妻に運動不足を指摘されて始めましたが、最近では気持ちがリラックスして、よく眠れるようになったことに気が付きました。次第に、他にも様々な効果が期待できるのではないかと考えるようになり、インターネットで調べてみましたので、今回はその中から私が気になった二つの効果について皆さんにご紹介したいと思います。
 まず一つ目に、リフレッシュ効果が期待できるということです。歩くことでリラックス効果のあるホルモンが分泌され、ストレスが解消されると言われています。実際に私も効果を実感しており、不安やストレスが解消されていると感じます。

 二つ目に、認知症の予防に効果が期待できるということです。ウォーキングのような適度な運動は、脳の血流を増し、認知症予防につながると言われています。友人とおしゃべりを楽しむなど、頭を使いながら歩くとより効果的です。

 ウォーキングは、特別な道具も必要なく、老若男女問わず気軽に始めることができるのが大きな魅力だと思います。ボランティア活動をはじめ、地域活動を続けていく上でも、心身ともに健康であることがとても重要になると思いますので、皆さんもぜひウォーキングを始めてみてはいかがでしょうか。

8月:いきいきフェスタ2023

奥山佳恵

 豊橋市が定める『市民福祉の日』の記念行事として開催する福祉のお祭り『いきいきフェスタ』が、ライフポートとよはしで8月20日(日)に開催されます。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、社会福祉大会や記念講演以外は令和2年度から中止を余儀なくされていたため、この規模での開催は実に4年ぶりとなります。

 本年度の記念講演では、女優・タレントとして活躍する奥山佳恵さんをお招きし、「生きてるだけで100点満点!」というテーマでお話しいただきます。2児の母である奥山さんは、2度の子育てや、ダウン症の次男を迎えての家族の日々などの実体験を多くの方に伝えることでダウン症への理解を深めてほしいと、積極的に活動していらっしゃいます。

 また、記念講演終了後は、映画『めぐみ―引き裂かれた家族の30年』の上映会を開催します。北朝鮮拉致事件によって30年にわたり翻弄されてきた人々の姿を捉えたドキュメンタリーで、引き裂かれても変わらない家族の深い愛情を描いています。

 他にも、模擬店コーナーや福祉体験コーナー、親子ふれあい教室など、どなたでもお楽しみいただけるイベントを多数ご用意してお待ちしておりますので、ぜひご来場ください!

9月:豊橋市で初の災害ボランティアセンター開設

災害ボランティアセンターの様子

 少し月日は経ちましたが、去る6月、台風2号及び梅雨前線による大雨の影響で水害が発生し、豊橋市でも冠水や浸水の大きな被害がありました。まだ記憶に新しいのではないでしょうか。被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げます。

 この度の災害で、豊橋市では初めてとなる災害ボランティアセンターを開設しました。(センターの設置・運営は豊橋市と豊橋市社会福祉協議会の共同)災害ボランティアセンターでは、災害時に被災者のスムーズな生活復旧を支援するため、ボランティアの受け入れと派遣を行います。今回の災害では、当ボランティアセンターにご登録いただいている個人ボランティアの方や公募による市民ボランティアの方、延べ49名の方が災害ボランティアとして活動してくださいました。被災者からのニーズを受け行った主な活動内容は、浸水による水のかき出し・除去や濡れたものの運び出し・片付け等でした。

 ある被災者の方が、活動を終えたボランティアの方が帰られる際には見えなくなるまで手を振ってくれていたというお話を伺い、物理的なことだけではない支援の力も感じました。

 今回の経験や浮かんだ課題を踏まえ、災害ボランティアセンターの準備体制を整えていくとともに、多くの市民の方に災害時には災害ボランティアが支援できる場合があると知っていていただきたいです。また、支援をする側としての活動もあると広く知っていただき、いざという時にできるだけ多くの方で地域のために力になれたらと思います。

10月:福祉施設でのボランティア体験

車椅子を押す学生

 夏休み期間中に、福祉施設で中高生を対象としたボランティア体験学習を行いました。これは、ボランティア活動を希望する生徒に、福祉の課題に気づいてもらうことや、地域の一員としての自覚が芽生えるようなきっかけづくりとしてもらうことを目的とした『青少年等ボランティア福祉体験学習事業』の一環です。コロナ禍では実施できていませんでしたが、今年は再開することができました。

 今回は、その中の高校生体験学習(ワークキャンプ)についてご紹介します。こちらは高校生が障害者施設で2日間ボランティアを体験する活動です。体験当日のレクリエーションの時間には、高校生がゲームでいい記録を出すと、利用者の方が「すごい!」と言いながらハイタッチをして、お互い嬉しそうにしていました。そして、2日間の活動終了後、高校生たちは、「楽しかった」「嬉しかった」という感想や、「将来に活かせる良い経験になった」「街で困っている人がいたら声をかけたい」と言っていました。

 参加した生徒のみなさんが、誰かのためにボランティア活動をするということに加え、そこから学んだこと・気を付けたこと・反省点・次に活かしたいことなど、色々なことを考えながら取り組み、自身の成長に繋げられたようでした。

 この事業は、また来年の夏休み期間に実施する予定ですが、年間を通してボランティア募集をしている福祉施設もあります。ボランティアセンターで配布している、『まずは体験!入門!身近な施設でボランティア』という冊子に情報を載せていますので、興味のある方はぜひお問い合わせください。

11月:大雨災害リスクへの備え

大雨災害のイラスト

 本通信9月号でもお伝えしましたが、6月2日の大雨よる道路の冠水や家屋の床上・床下浸水等の被害により、豊橋市においては初めて災害ボランティアセンターが立ち上がり、被災者支援に取り組みました。改めて大雨災害の恐ろしさを実感しました。
 今年もこれまでに、全国各地で大雨災害が発生し、多くの地域で甚大な被害が発生したことを、6月から8月にかけてニュースで報じない日はなかったように思います。豊橋市においても6月の大雨以降、9月11日の大雨では、一時間雨量が75ミリと9月としては観測史上最も多く雨が降り、6月の大雨を経験している皆様も不安を覚えたのではないでしょうか。

 毎年のように発生する大雨による水害は、台風はもちろん、大気の不安定に起因した線状降水帯等の自然エネルギーが『想定外』であったことが原因との意見がありますが、これまで定めてきた基準には当てはまらない、『想定内』として準備しなければいけない、そんな時代が来ています。

 また、想像を超えた雨量は、場所によっては土砂災害のような二次被害を引き起こしてしまう可能性があります。こうした二次災害に備えるためには、豊橋市が作成している土砂や洪水等のハザードマップを確認しておくことや、テレビやラジオの情報はもちろん、豊橋市がその都度発表している避難情報等をチェックし、いつでも避難できる態勢を整えておくことが必要です。

 そのためには、平時から非常時の持ち出し品の確認や避難経路の確認、避難時の家族のルール等を確認し合っておくことが大切です。

12月:需要が高まる傾聴

傾聴をしている人

 話や音楽などを『きく』という漢字は『聞く』『聴く』の漢字を使うのが一般的ですが、これらの漢字の意味や使い分け方をご存知でしょうか。国語辞典によると、『聞く』は音を耳で感じ取る、自然に耳に入ってくる、『聴く』は聞こうとして聞く、注意してよく聞く、となっています。ボランティア活動や日常生活などでは「聴く」ことが、コミュニケーションを取る上で重要ではないでしょうか。

 『聴く』の漢字を使う傾聴とは、相手に寄り添いの心を持ち、耳や目や心を傾けて話を聴くことを指します。近年では特に高齢者施設から、利用者様の話を聴いてほしいといった依頼が増えています。依頼の背景には、「職員が話を聴いてあげたいけど、時間を作ってあげられない。ボランティアさんが傾聴してくださると、大変助かる」といった声があります。

 本会がサポートしている傾聴ボランティア連絡会では、傾聴のニーズのある施設への傾聴ボランティア派遣のコーディネートを行っています。とは言ってもあくまで活動者は、個人での活動がメインですので自分で施設を選び、自分の都合のつく時間に、自分のペースで活動して頂けます。連絡会では年に3回程度、研修会も兼ねた定例会を実施し、会員の技術向上に努めています。  

 また年に1度、新規活動者向けの傾聴ボランティア講座を実施し、活動者の養成を行っています。内容は、傾聴やボランティア活動についての講義や参加者同士で傾聴のシミュレーションを行うなど、理解を深めていきます。

 話を聴くことは、特別な技術は必要ありませんし、ボランティア活動未経験の方にもおすすめの活動です。ぜひ、講座を受講して傾聴ボランティア活動をしてみませんか。ご受講お待ちしております。

1月:東三河ボランティア集会

握手している写真

 東三河ブロックのボランティアが一堂に会し、日ごろの活動成果などを発表する『東三河ボランティア集会』が田原市文化会館(田原市田原町汐見5)で2月4日(日)に開催されます。今年度は、「小さな芽 大きく育て ボランティア活動~みんなで参加 つながる絆と広がる笑顔~」をテーマに着々と準備が進められています。

 東三河ボランティア集会は、今回で31回目の開催となり、東三河5市2町1村(豊橋市・豊川市・蒲郡市・新城市・田原市・設楽町・東栄町・豊根村)の各地域で活動しているボランティア団体が参加します。5市が毎年持ち回りで幹事を務めており、今回は田原市が開催の舞台です。会場内では、ボランティア団体の活動紹介の場として、『展示ブース』、『交流体験』、『物づくり体験』、『活動発表』の4つのブースが設けられ、例年多くの賑わいを見せています。私も昨年は蒲郡市で開催された同集会に参加しましたが、多くのボランティア関係者が市町村の枠を超え、意見交換やお互いのブースを見て回るなど、幅広く交流している姿がとても印象に残っています。

 当日は、田原市在住で、視覚障害者の柳田はるかさんによる講演会も予定されています。柳田さんは、二人のお子様の母親であると同時に、年に複数回音楽活動や講演活動もこなされています。視覚障害をかかえながら、日々の生活を精力的に送る原動力などについて講演していただく予定です。(手話通訳・要約筆記あり)

 東三河ボランティア集会は、ボランティア関係者に限らず、一般の方の参加ももちろん可能です。これだけ多くの団体が一堂に会する機会はめったにありませんので、ぜひ数多くのブースを回って、自分の知らない世界を覗いていただけたら幸いです。

2月:気持ちから若返り

鏡を見る人

 皆さんは、ご自分の見た目が年相応のものだと思いますか?
 ハーバード大学の研究で、高齢者を「ただ若い頃を懐かしく思いながら過ごすグループ」と「若い頃に流行したものが沢山ある部屋で、当時に戻った気持ちで過ごすグループ」に分けてそれぞれ短期間の共同生活をしてもらったところ、後者のグループは視力・聴力・体力・知能指数等が向上したという結果が出たそうです。見た目まで少し若く見えるようになったとのことですので、気持ちの変化による効果には驚くべきものがあります。ソウル大学の研究でも、自分の主観年齢(気持ちの若さ)が実年齢よりも若い人は見た目も身体機能も実年齢より若々しいという結果が出ています。

 私が仕事でよくお会いする方の中には80代半ばでも元気にボランティア活動を続けている方がいらっしゃいますが、しばしば「ボランティアをしていると、自分の年齢を忘れる」と笑いながら話してくださいます。恐らくこの方にとってはボランティア活動を通じて常に多くの方と触れ合っていることが良い刺激になり、それが気持ちの若さに繋がっているのだと思います。

 余暇活動を充実させることができる上に色々な人に出会えるボランティア活動は、そういった「気持ちの若返り」に最適です。ボランティアセンターでは、活動に関するご相談に随時対応しているほか、毎年3月には『ボランティアはじめの一歩セミナー』というイベント(ぼらめ~と情報版掲載)も実施しています。様々なボランティア団体の方から直接お話を聞けるまたとない機会ですので、ボランティアを始めてみたいという方はぜひご参加ください。

3月:盲導犬を知って

盲導犬のいらすと

 総合福祉センターあいトピアには、図書ライブラリーがあります。福祉やボランティアに関する本や実用書、エッセイなど5000冊以上があり、先日、そこで『ベルナのしっぽ』という本が目に入りました。郡司ななえさんという目の不自由な方が盲導犬のベルナと暮らした日々を、郡司さん御本人が書いた本です。この本は1996年に出版され(文庫版は2002年出版)随分経ちますが、今も多くの方に読まれています。女優の大竹しのぶさんらが出演するテレビドラマにもなり、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。ライブラリーには他にも盲導犬や介助犬に関する書籍が置いてありますが、この『ベルナのしっぽ』は私が子供のころに読み、初めて盲導犬について知った本でした。

 それをきっかけに盲導犬に関心を持ち、子供ながらに盲導犬について調べ、郡司さんが参加される街頭募金活動に私も参加したことがありました。盲導犬の育成や維持、普及等には多くの費用がかかるため、各盲導犬協会では国や行政からの補助の他、大部分は市民の方からの寄付や募金を活用されています。お店や公共施設等で募金箱を見かけることもありますね。

 『ベルナのしっぽ』に出てくるベルナは14歳まで盲導犬として生き、本の終わりで亡くなっていたので、私が参加した募金活動で郡司さんと一緒にいたのはペリラという盲導犬でした。ガイド中の盲導犬はガイドに集中しなければならないので、周囲が触ったり声をかけたりすることはできません。私も静かに眺めたり、近くを少し歩いたりした程度ですが、その穏やかで純粋に働く姿と、郡司さんもまた穏やかに盲導犬と連れ添っていたのが心に残っています。盲導犬のペリラは大人しく、むやみに吠えることもありませんが、休んでいる時にはあくびをしていて、いい意味で普通の犬と変わりなかったことも覚えています。
 豊橋市でも、頭数はごく少ないのですが、盲導犬が暮らしています。見かけられた際にはあたたかく見守っていただき、ぜひ改めて見て知ってみてください。